会社を退職後、社会保険(健康保険・年金)や税金(住民税・所得税)に関する手続きも非常に重要です。特に、社会保険(健康保険・年金)は将来に影響を及ぼす大切な要素です。この記事では、「退職後に何をしたらいいかよく分からない」という人のために、退職後の社会保険や税金について詳しく解説し、得する手続きについてまとめました。
退職後も払い続けるもの一覧
会社を辞めてからも払い続けないといけないものは以下の3つです。
退職後も払い続けるもの
- 健康保険
- 国民年金
- 住民税
会社に在籍中はこれら3つと所得税は、毎月給与から源泉徴収されていました。会社を退職してからは自分で払うよう手続きしないといけません。退職後の健康保険・国民年金・住民税の手続きについて詳しく見ていきましょう。
退職後の健康保険の手続き
退職後は、健康保険の切り替え手続きが必要になります。健康保険には国民健康保険と任意継続被保険者制度で今まで加入していた健康保険を継続するか2つの選択肢があります。
国民健康保険
退職後、会社の健康保険を脱退すると、自動的に国民健康保険に加入することになります。市区町村によって異なりますが、保険料は前年の所得に基づいて計算されます。
メリット
- 加入手続きが簡単: 退職後に市区町村で手続きを行うだけで、すぐに加入できます。
- 全国どこでも利用可能: 国民健康保険は全国で利用できるため、転居した場合も安心です。
- 収入に応じた保険料: 保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、収入が減った場合は保険料が軽減されることがあります。
デメリット
- 保険料が高くなる場合がある: 特に前年の所得が高い場合、保険料が高くなることがあります。
- 保障内容の違い: 会社の健康保険に比べ、保障内容が異なることがあり、自己負担が増えることがあります。
手続き期間
退職の翌日から14日以内
手続き場所
居住地の役所の国民健康保険窓口
手続きに必要なもの
- 健康保険資格喪失証明書または退職証明書
- 加入用の書類(自治体の窓口で入手)
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- マイナンバーカードもしくは通知カード
- 印鑑
任意継続被保険者制度(最大で2年)
退職前に加入していた健康保険を、最大で2年間継続して加入することができます。この場合、保険料は全額自己負担になりますが、保険の内容はそのまま受けられます。
メリット
- 保障内容がそのまま継続: 退職前に加入していた健康保険の内容がそのまま適用されるため、安心して利用できます。
- 医療費負担が軽減: 会社の健康保険に加入していた時と同じため、医療費の自己負担が少なくて済む場合が多いです。
- 保険料の変動が少ない: 通常、加入していた時の保険料と同等であるため、保険料の大幅な変動が少ないです。
デメリット
- 保険料は全額自己負担: 会社が負担していた分の保険料を自分で支払う必要があり、金額が高くなる可能性があります。
- 継続期間の制限: 任意継続の制度を利用できるのは最長2年間で、期間が終了すると別の保険に加入しなければなりません。
手続き期間
退職の翌日から20日以内
手続き場所
協会けんぽに所属している場合…居住地を管轄する協会けんぽの支部
健康保険組合に所属している場合…各健康保険組合の事務所
手続きに必要なもの
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
- 住民票
- 1カ月分の保険料
- 印鑑
退職後の年金の手続き
国民年金
年金は20~60歳のすべての国民に加入義務があります。公的年金は加入者の状態によって3種類に区分されています。
被保険者区分 | 年金の種類 | 対象者 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金 | 自営業・学生・フリーター・無職 |
第2号被保険者 | 国民年金+厚生年金 | 会社員・公務員 |
第3号被保険者 | 国民年金 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦・専業主夫) |
第2号被保険者だった会社員は、失業すると第1号被保険者に切り替わります。そのため、厚生年金から国民年金に切り替える手続きをしないといけません。扶養に入れてる配偶者がいる人は、配偶者の年金種別も第3号から第1号に変わります。
手続き期間
退職の翌日から14日以内
手続き場所
居住地の役所の国民年金窓口
手続きに必要なもの
- 年金手帳、または基礎年金番号通知書
- 退職日が証明できるもの(離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書など)
- マイナンバーカード(なければ、運転免許証などの身分を証明できるもの)
- 印鑑
- 通帳や、クレジットカード(口座振替やクレジットカード払いを希望する場合)
退職後の住民税の手続き
住民税は、前年の所得に基づいて課税される地方税です。会社に所属している時は毎月給与天引きによって納めていた税金ですが、退職後も前年の収入に基づいて税額が決まるため、退職後も住民税の納付が必要になり自分で納めなければなりません。
住民税の納付方法の確認
住民税の納付方法の種類
- 特別徴収: 退職前に会社が住民税を給与から天引きしている場合、退職後は会社が住民税を特別徴収できなくなります。退職後、納付書が送付されるため、指示に従って納付を行います。
- 普通徴収: 退職後、住民税が普通徴収に切り替わることが一般的です。納付書が届くので、期日までに支払いを行います。
住民税の納付額の確認
住民税の納付額は退職した年の住民税は前年の所得に基づいて計算されます。前年の年収や扶養家族の有無などによって変動します。また所得に応じて定められた税率が適用され、地域によって異なる場合があります。市区町村の公式ウェブサイトで具体的な税率を確認できます。
住民税の減免や軽減の手続き
住民税は退職後にまとまったお金を納付する必要があり、支払いに困る人もいるかと思います。退職後に収入が減った場合、失業したことを理由に住民税の減免や軽減措置を受けられる可能性があります。まずはお住いの市区町村の窓口で相談してみてください。
まとめ
退職後の社会保険や税金に関する手続きは、将来の生活に大きな影響を与えます。以下のポイントを押さえて、得する手続きを行いましょう。
- 健康保険:国民健康保険または任意継続被保険者制度の選択を慎重に。
- 年金:国民年金への加入手続きを忘れずに。
- 税金:失業を理由に減免や軽減措置が受けられないか自治体に相談。
退職後の保険料や税金は、制度を知ってるか知ってないかで損するか得するかが変わってきます。退職後も、社会保険や税金に関する手続きを怠らず、賢く生活を支える基盤を整えましょう。
また、退職する際は失業保険の手続きも同時に進めます。失業保険の手続きは失業保険で損しないための手続きと受給の流れ【最大限に活用するための方法をわかりやすく解説】でまとめてありますので、ご参照ください。
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